「いい人」という言葉には、多くの人が自分の理想を重ねています。
優しい、頼れる、気配りができる…そうした条件は誰もが思い描きやすいもの。
でも、私が思う「いい人」とあなたが考える「いい人」は、きっと同じではないはずです。

では具体的にあなたが想定している「いい人」とは、どんな人でしょうか？
「前向きな会話ができる人」、「お互いの意見を尊重できる人」、「価値観が合う人など」、、、と、すぐに5つほど出てくるなら、あなたは「いい人」の定義が明確であると言えるでしょう。

でも、「え？いい人？いい人っていうのは、、、、」と言葉に詰まるようなら、10分でも良いので、書き出してみる事をおススメします。
「いい人がいれば結婚したい」と言っているとき、多くは、その「いい人」の定義が漠然としていることが多いのです。

具体的な「いい人」が頭に浮かばないと、いざ誰かと出会っても「なんか違う」「もっと他に良い人がいるかも」と迷いが生じやすくなります。
結婚とは、理想を求めるだけではなく、日々の生活や価値観を共有していく現実的な関係です。まずは、「いい人」と言う前に、自分にとって「譲れない条件」が何かを整理してみましょう。

「いい人がいないから結婚しない」という言葉は一見合理的に見えますが、実は少し矛盾しています。理想通りの「いい人」が突然現れることをただ待っていると、自分の中で「理想の結婚相手」というイメージがどんどん膨らみ、本当は出会っているのに、それに当てはまらないと感じてしまったり、その理想に100％あてはまる人でないと、、、という思いが、せっかくの出会いを台無しにしてしまうことがあります。

さらに、自分が思い描く“いい人”の理想像がはっきりしていない場合、たとえ誰かと良い関係になりかけても、どこか満たされない気持ちが湧いてきて「もっと良い人がいるかも」と不満に感じてしまうこともあるのです。つまり、「いい人がいれば結婚したい」という考え方は、現実と理想の間にギャップを生み出しやすいのです。

あなたにとって「いい人」はもしかしたら、「あなたにとって都合のいい人」のことを言っていないかも、チェックしてみましょう。あなたが「いい人」という時に、自分の言う事を何でも聞いてくれる「都合のいい人」という事を思い浮かんでいるとしたら、少し注意が必要かもしれません。
逆に、あなたがそう思われたら、どんな気持ちになりますか？
あなたの事を「都合のいい人」と思っている人と、一緒にいたいでしょうか？

結婚相手に必要なのは、あなたの理想の「いい人」や、自分の言う事を何でも聞いてくれる「都合のいい人」ではなく、あなたが一緒に成長し、向き合える人かどうかです。

理想の条件が全て揃った人でなくても、「一緒にいると安心できる」「困った時に支えてくれる」そんな感覚を持てる相手との方が、長い目で見てお互いを支え合える関係を築きやすくなります。

また、「相手に求めるもの」ばかりでなく、「自分が相手に何を提供できるか」という視点も重要です。相手に幸せにしてもらう、のではなく、お互いが支え合い、補い合えるかどうか、「一緒に幸せを共創していく」という、あなたの主体的な姿勢が、結婚生活を充実させるカギなのです。

「いい人がいれば結婚したい」と考える前に、自分に問いかけてみていただきたい質問がいくつかあります。

• 「自分が求める結婚生活とは何か？」
結婚はゴールではなく、生活のスタートです。どんな生活を送りたいかが見えてくると、必要な相手像も自然と浮かび上がってきます。毎日一緒に過ごしたいのか、適度な距離感がほしいのか、週末婚みたいなたまに一緒にいる関係が良いのか？
　　　　趣味の時間もどれくらいほしいのか？子供はほしいのか？
自分がどんな結婚生活を望んでいるかを考えてみましょう。

• 「理想と現実の折り合いはどこにあるか？」
誰にでも理想はありますが、それをすべて現実に求めるのは難しいかもしれません。自分が譲れない条件、と思っているものの多くは、、、親や周りからの刷り込みだったり、既に結婚した友人達への「ミエ」、自分の劣等感の裏返し、だったりします。
「素敵な結婚相手だと言われたい」、だとか、「自分に自信がないから、結婚相手は、自分より何でもできる人がいい。」だとか、そんな気持ちは、ないでしょうか？
人間なので、そう言う気持ちがあることはダメだとは言いませんが、こだわり過ぎると、本当に大切なことを見失ってしまう事もあるので、パートナーに対して、絶対に譲れないポイントはどこか、そして妥協できる部分はどこか、優先順位をつけてみましょう。ここに関しても、書き出してリスト化してみる事をおススメします。


• 「自分にとっての幸せとは何か？」
本当に大事なのは、相手が完璧かどうか、理想にぴったりではなく、その相手といることで自分がどれだけ幸せを感じられるかです。
相手といることで、良い意味でも悪い意味でも「こんな自分がいたんだ！」、と発見があることもあるでしょう。幸せの定義は人それぞれなので、「自分にとっての幸せ」とは何か、改めて自分に聞いてみてください。
例えば、アクティブに動き回って、大勢の人と過ごすことが幸せだと感じる人もいるでしょうし、逆に、温泉や美味しいもの巡りをしてのんびり過ごす方が幸せ、だと感じる人もいるでしょう。まずは、自分が何に幸せを感じる人なのか、自分を知っていくことから始めるといいかもしれません。

「いい人がいれば結婚したい」と思う気持ちは誰もが共感できるものです。
でも、ただ“いい人”を待っているだけでは、理想が高くなるばかりで、現実とのギャップが広がり、いつまでたっても「いい人がいない」という事になりかねません。

大切なのは、自分の理想の相手を求めて待つばかりではなく、どういう「自分で在りたいか？」「どういう自分だったら、自分で自分の事が好きだと思えるのか？」主体的に自分と現実的に向き合っていくことを大切にすることです。

お互いの弱い部分や足りない部分を受け入れ、支え合える関係を築くことで、いつしか理想の関係になっていた、という事もあり得ます。
結婚やパートナーシップに必要なのは、あなたにとって「いい人」ではなく、「あなたと一緒に未来を歩んでくれる人」です。

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